PwCの新監査法人「あらた」が設立登記

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 中央青山監査法人に対する業務停止命令の発動に備え、海外提携先プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が日本で新法人「あらた監査法人」(東京・港)の設立登記をすませたことが明らかになった。中央青山は法人への出資者も兼ねる社員と呼ばれる会計士については、今週末に社員総会を開いて移籍のための脱退を認める機関決定をする見通しだ。

 設立登記は1日付。新法人には中央青山出身の公認会計士5人が出資し、監査法人の設立要件を満たした。金融庁日本公認会計士協会への届け出などの手続きを進め、業務開始に備える。

 監査法人にも改善命令、登録制を導入・金融庁方針

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 金融庁カネボウなど上場企業の相次ぐ不正会計事件に対応し、監査法人への規制を強化する。監査法人に対して警告的な措置となる「業務改善命令」を出せるようにして問題のある法人に早期の是正を促すほか、監査法人の業務内容などをきめ細かくチェックできる「登録制」も導入する方針だ。自民党内では不祥事を起こした監査法人に事実上の制裁金となる「課徴金」を科す検討も始まった。株式市場に広がる監査不信を払拭(ふっしょく)する狙いがある。

 監査法人への現在の行政処分は問題への対応が法人まかせで罰則などを伴わない「戒告」から、監査先企業への影響が大きい「業務停止命令」や「解散命令」に一気に飛ぶため、その中間的な措置となる業務改善命令を新たに導入する。改善命令なら、中央青山監査法人への一部業務停止命令で起こったような監査先企業の混乱を避けつつ、早めに問題に対処できるとみている。

 中央青山離れ進む・資生堂、東洋水産が契約打ち切り

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 資生堂は12日、会計監査人を中央青山監査法人からあずさ監査法人に変更すると発表した。昨年から監査体制の強化を検討しており、「不祥事がきっかけの一つになった」としている。6月下旬に開く予定の株主総会で決議し、07年3月期決算から変更する。

 東洋水産中央青山との契約を打ち切り、あずさに一本化することを決めた。6月下旬に開く予定の株主総会で決議する。任期が満了することもあり、グループ内で監査法人を統一する。同社は1月に、米国子会社の監査を依頼している米大手会計事務所KPMGの提携先であるあずさを追加で選任していた。

 金融相、監査の質次第で容認も・中央青山からの移行

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 与謝野馨経済財政・金融担当相は12日の閣議後の記者会見で、中央青山監査法人の提携先である米会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が設立を計画している新法人が監査先企業の“受け皿”になるとの観測が出ていることに関して、「(新法人への評価は)監査への高い価値観を持っているかで決まる」と述べた。監査の質が高ければ、中央青山と監査契約を結んでいる企業が新法人に移っても、容認できるとの考えをにじませた。

 金融相は新法人について「問題は監査を行うのに必要な専門知識を持った人たちが集まるか、監査が社会的に重要という使命感を持っているかだ」と語った。さらに「(法人という)入れ物はどういう入れ物でもよろしいのでは」とも述べ、監査内容がしっかりとしていれば、新法人を批判するつもりはないとの見解を示した。

 金融庁中央青山監査法人に対して7月から2カ月間、上場企業など2000社以上の監査を停止するよう求めた。PwCは日本に新法人を設けると発表したが、設立時期や参加する会計士などはまだ公表していない。

 中央青山の業務停止対象、法定監査すべて・企業向け

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 金融庁は10日、中央青山監査法人に対して上場企業など「法定監査」先企業を対象に監査業務の停止を求める行政処分を出す。不正を見抜くための内部管理の体制がずさんだったとの判断で、期間は7月から2カ月とする方向。2000社を超える企業が監査契約の見直しを迫られるとみられるうえ、中央青山の経営にも大きな影響を与えそうだ。

 法定監査には証券取引法によって義務付けられている有価証券報告書の監査と、会社法に基づいて企業が株主総会に提出する財務諸表などを監査する業務がある。会社法による監査の場合、監査法人が業務停止命令を受けると、監査契約をすみやかに解除しなければならないルールがある。今回の業務停止命令は証取法会社法の両方に基づく法定監査が対象となる。

 中央青山処分、4月期と5月期の決算は除外・金融庁

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 金融庁中央青山監査法人に業務停止命令を出す際に、同法人と契約している4、5月期決算企業は対象外とすることが10日、明らかになった。これらの企業は業務停止が予定されている7、8月に監査が大詰めを迎えるため、混乱を回避するねらい。中央青山は追加の内部処分や組織改正を通じ、体制立て直しを急ぐ。

 金融庁は同日夕にも中央青山に業務停止命令を出す予定。上場企業など「法定監査」先の2000社超に監査業務の停止を求める。