年金資産の株高「返還益」、計上認めず・会計士協

 企業が株高で大幅な積み立て超過になった年金資産の一部を取り崩し、利益計上する会計処理が認められなくなる。日本公認会計士協会は近く、企業が信託制度を利用して年金向けに積み立てた資産の返還益を、原則認めない会計ルールの草案を公表する。2005年3月期から適用する方針。信託の活用は、退職給付会計の導入で顕在化した年金積み立て不足の解消策。安易な利益計上は企業会計の透明性を損ねると判断した。伊藤忠商事など返還益計上を決めていた企業は計画変更を迫られそうだ。

 企業は株安による企業年金の積み立て不足の穴埋めを狙い、「退職給付信託」と呼ぶ制度を使い、株式などを年金のために信託し、会計上の年金資産として積み立ててきた。ところが昨年来の株高で年金資産が必要な積立額を大幅に上回る例が出てきた。企業の間では信託の一部を解約して返還を受け、利益に計上しようという動きがある。

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20040907AT2D0601I06092004.html