国際会計基準、CO2排出権を資産計上・専門家が指針

 【ロンドン=田村篤士】2005年1月から欧州企業が利用する国際会計基準を作成する専門家組織は、二酸化炭素(CO2)の排出権取引の会計処理の指針をまとめた。企業が割り当てられる排出権を市場価格で資産計上するのが柱。排出量の大きな電力やガス産業の財務内容に影響しそうだ。

 国際会計基準理事会解釈指針委員会の指針によると、過去の排出実績に基づいて企業が政府から割り当てられる排出権を無形固定資産として計上する。その後は市場の取引実勢などに応じて評価し直す。一方、実際の排出量を排出権の枠内に収める義務は負債として取り扱われる。来年から欧州連合(EU)でスタートする排出権取引は、CO2を目標以上に削減できた企業は余った排出権を売買できる制度。逆に削減できそうにない企業は市場で購入してつじつまをあわせなければならない。環境対策で出遅れた企業は資産が膨れあがることになり、株式市場などでの評価に影響しそうだ。京都議定書に参加しない米国の会計基準はこうしたルールを整備しておらず、国際的に影響力を持つ会計基準としては初のルールとなる。

http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20041207AT2M0400N06122004.html