「包括利益」、純利益と並列開示容認・国際会計基準理事会

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 世界約100カ国で利用されている国際会計基準(IAS)を作る専門家組織は16日、保有株など資産の時価評価を反映する「包括利益」と呼ばれる新しい業績報告書の導入に際し、現行の損益計算書との並列開示を容認することを決めた。包括利益に開示の1本化を目指してきたが、純利益を経営指標として重視する欧州や日本の産業界に配慮した。

 16日の国際会計基準理事会(IASB)で合意した。公開草案の開示を経て2007年にも導入を目指す。

 IASBは包括利益の導入が「本業の収益力と資産の健全性の総合開示につながり、企業実態の透明性も高まる」とみている。ただ欧州や日本では損益計算書の最後に表示される純利益が経営指標として重視されており、産業界が1本化に激しく抵抗。IASBは包括利益の早期導入を優先して、企業が1本化か並列開示を選べる妥協案を盛り込んだ。