スペインが「黄金株」廃止へ

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 スペイン政府は欧州連合(EU)の要請を踏まえ、民営化企業に対して保有している「黄金株」を廃止する方針を決めた。通信大手テレフォニカイベリア航空の民営化が一巡したため、各社の資本政策に自主性を持たせる。

 黄金株は政府など特定の株主に重要議案や株式譲渡で拒否権を与える制度の総称。英国で民営化を進めた1980―90年代に外資の買収から守るために導入され、欧州全体に広がった。

 市場統合を優先するEUは加盟国に黄金株廃止を強く要請。既に英、アイルランドチェコなどで廃止の動きが進んでいる。昨年7月には英空港運営会社BAAが一般株主に15%以上の保有を禁じていた制度を打ち切った。

 日本では東京証券取引所が上場企業に黄金株の廃止を求める上場規則試案を打ち出したが、政府が難色を示している。黄金株については国策企業を敵対的買収から守る効果がある一方、過度な防衛策は市場のダイナミズムを損なうとの批判がある。