国際会計基準理、生保契約の時価評価導入検討で合意

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 【ロンドン=田村篤士】世界約100カ国で利用される国際会計基準を作る国際会計基準理事会(IASB)は生命保険会社の保険契約の会計処理について、時価(現在価値)評価導入を検討することで基本合意した。金利など外部環境の変化に合わせ、期末ごとに見直す方向で論議する。生保の経営実態の透明性が高まる一方、業績の変動が大きくなり、経営にも影響しそうだ。

 生保は加入者に支払わなければならない保険額を負債として計上している。保険会計の国際統一ルール作りを目指すIASBは先週の会合で、時価評価を軸に検討することで一致した。日本が原則採用している原価評価は当初の契約時点の評価額を使い続ける仕組みだが、これは今後の検討対象から外す。

 時価評価では例えば契約時点より金利が下がっていれば将来支払う保険額を見積もるうえで用いる割引率が低下し、負債額が膨らむ。IASBは複雑で分かりにくい保険契約内容の透明度が高まると見ている。すでに運用資産など資産側は時価評価が広がっており、負債側もそれに沿うことになる。